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こりや痛みのメカニズムのお話し

こんにちは。今回は肩こりの原因やそのメカニズムについて説明していきたいと思います。

人間はなぜ肩こりや痛みを感じるのか?

肩こり(頚肩腕症候群)の原因は、首や肩周辺の血行障害による筋肉疲労にあります。そのメカニズムを理解することから、肩こり解消をスタートしましょう。

こりや痛みの原因は日常生活に潜んでいる

肩こりに悩む人と、ほとんど肩こりに悩んだことのない人の違いは、毎日の生活のなかにあります。日常生活のなかに潜むこりや痛みを引き起こす要因としては、大きく分けて次の3つが挙げられます。

悪い姿勢

筋力を低下させる運動不足

精神的なストレスが継続的にかかり、たまりやすい生活環境

これらこりや痛みの三大要因は、毎日の生活を送っているときに、無意識のうちに陥っている生活習慣であり、日常化しているものなのです。

つまり、「姿勢の悪さ」「運動不足」「精神的なストレス」を見直すことが、肩こりなどを遠ざけることにつながるのです。こう言うと「なんだそんなことか」と思われる方もいるかもしれませんが、無意識のことなので実行しようとするとなかなか難しいものです。

首や肩の筋肉疲労が肩こりの最大の原因

頚椎や内臓などの疾患がないのに起きる肩こりや痛みの最大の原因は、首や肩周辺の筋肉の疲労にあります。

私たちがからだを動かすには、動きに関わる筋肉が収縮と伸展を交互に行い、骨格を動かしています。からだを適度に動かすと、筋肉の周辺の血行を良くし乳酸(疲労物質)を流し去ることができます。

ところが、からだをじっと動かさないでいると筋肉は緊張が続き疲労しやすくなります。筋肉が疲労すると、筋肉を構成する組織である筋繊維が膨張し、筋肉と筋肉の間をくまなく走る血管を圧迫します。これが血行障害を引き起こすのです。

動かさない方が疲れるなんてややこしいですね。「動くな」と言われるとすぐに疲れを感じて、なかなかじっとしていられませんが、何か仕事や読書、ゲームなどに夢中になっていると疲れを感じることなく、長時間同じ姿勢をとり続けられてしまうのです。

筋肉は、組織内でブドウ糖を燃焼させてエネルギーに変換します。燃焼のためには酸素が必要です。ところが、血行が悪くなると血液から供給される酸素が不足し、ブドウ糖が不完全燃焼を起こしてしまいます。不完全燃焼したブドウ糖は、疲労物質とも呼ばれる乳酸などの老廃物質になります。乳酸は、血液中に排出されてしまいますが、血行が悪いと筋肉の中にたまってしまい、筋肉やその周辺の末梢神経を刺激します。末梢神経が受けた刺激情報は、脊髄から脳に伝わり、大脳がその刺激情報を分析してこりや痛みと認識します。これが肩こりを起こすメカニズムです。

筋肉疲労を引き起こす血行障害とは?

血行障害とは、血の流れが悪くなることです。筋肉に老廃物質がたまると、筋繊維の膨張は解消されずさらに血行が悪くなります。そして、さらに血管からの酸素の供給は不足し、不完全燃焼のために老廃物質は蓄積し、疲労は解消することなく、痛みや不快感が増すばかりの悪循環となります。

肩こりを解消するためには、まず肩周辺の筋肉の血行障害を根本的に解消しなくてはなりません。その方法についてはまたの機会に詳しく説明します。ここでは、血行障害が起きるしくみを詳しく理解して起きましょう。

静脈の血行障害が肩こりを招く

血液が流れている血管には、動脈と静脈の2種類があることはご存じでしょう。

動脈は、心臓から送り出された血液を全身に運びます。心臓の強い収縮によって、動脈に血液が送り出されます。また、動脈が脈を打ってスムーズな血流をつくり出します。圧力に耐えられるように血管壁は厚く、発達した平滑筋が脈動を助けます。

一方、全身の細胞や組織に酸素や栄養素を送り届けた血液は、静脈を通って心臓に戻っていきます。排出された老廃物質を肝臓などへ運び去り無害化する働きも担ってます。

静脈の血管は、動脈と比べて血管壁も薄く、また、動脈のように自ら脈を打つことはありません。そのため、静脈は周囲の筋肉が繰り返す収縮と弛緩によるポンプのはたらきを利用して血液を送っています。筋肉が疲労して筋繊維が膨張していると、薄く柔らかい静脈は筋肉に圧迫されて、血行障害を起こしてしまいます。

また、筋肉が弱くても、静脈は血流が滞ってしまいます。さらに、悪い姿勢や、からだの冷えなどでも血行が悪くなり、肩こりや痛みを招きます。

放置すると悪化していく「肩こり悪循環」

このように筋肉のこりや痛みの原因が、静脈の血行障害による筋肉疲労であることをお話ししてきました。これが首や肩で生じると肩こりになります。そして重い頭部を支える首や肩の筋肉は、日常生活での負担が大きく疲れやすいのです。

肩こりが軽度なら、原因がなくなることで自然に回復することもありますが、前にも述べたように筋肉疲労がさらなる血行不良を招くという悪循環に陥ると、「たかが肩こり」と放置しているうちに、慢性化してこりや痛みがひどくなってしまいます。

なかなか治らない肩こりや痛みは、放置せず、早期に悪循環を断ち切ることが大切です。そうしないと、肩周辺の筋肉群がどんどん硬くなってしまい、ついには「筋・筋膜炎」「結合織炎」などに進行して、日常生活にも支障が出るようになってしまいます。

いかがでしたか。こりや痛みのメカニズムがわかっていただけたかと思います。次回はまたこりや痛みに関する続きのお話しをしていきたいと思います。